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一般財団法人先端建設技術センター WEB記事

全工程を完成杭上で行う施工技術「GRB システム」で夢の実現を目指す(株)技研製作所(取材日:H28年2月15日)

  昔、とある冊子に上記の絵(広告)がよく載っており、筆者はこれが強く印象に残っていた。本当にこのようなことが可能なのだろうか?
 最近聞いた話だが、これは、とある企業の社長の夢を絵にしたものらしい。高知に本社を置く株式会社技研製作所である。

 社長の夢を実現に近づける技術が、このGRBシステムによる連続杭の圧入工法である。まずは動画をご覧いただきたい。圧入杭連続壁体を構築する全工程(杭の搬送~吊込み~圧入)を全て完成杭上で行う施工技術である。
 圧入機本体を先頭に、動力源であるパワーユニット、杭を吊込むクランプクレーン、作業基地から杭を搬送するパイルランナー、これら全てが杭天端を作業軌道として作業工程・工事進捗に合わせて移動する。
 この技術を見てみたいと思い、稼働中の現場(高知県高知市)にお邪魔した。

※画面をクリックすると、動画が起動します。

 

 訪問現場では、津波防波堤の耐震対策として、鋼管矢板を連続的に圧入していた。左写真のとおり、現場は交通量の多い国道に面し、かつ右側には高知海岸が開けている。施工ヤードとしてはわずかに歩道の幅のみである。
 従来なら国道を一部規制するか、もしくは海岸部に浅橋等を設けて施工ヤードを確保するところだが、このGRBシステムはこれが不要であり、渋滞の緩和、コスト縮減に寄与しているとのことである。
 この現場では、この技術としてはヤード幅に少し余裕があったため、作業基地から杭を搬送するパイルランナーについては専用軌道を別途設けて走らせていた。(右上写真)

※右下の画面をクリックすると、パイルランナーにて鋼管矢板を運搬している動画が起動します。

 一連の動きを動画でお伝えする。パイルランナーにて運ばれてきた鋼管は、矢板上で移動するクランプクレーンにより吊り上げられ、圧入機の定位置にセットされる。
 この現場ではジャイロパイラーと呼ばれる圧入機を使い、先端にビットが付いた鋼管杭を回転切削しながら圧入していく。

※画面をクリックすると、動画が起動します。

 GBRシステムの核である圧入工法(サイレントパイラー)であるが、実は日本発の技術であり、(株)技研製作所が開発したものである。狭隘地や環境対策が必要な箇所等の特殊な環境下で効果を発揮し、すでにヨーロッパやアメリカを中心に活用のステージを世界に広げつつある。左写真はロンドン、右はフロリダの事例である。
 (株)技研施工という工事専門のグループ会社を有しており、現場の課題を直接感じながら、開発・改良を加えていったことが現在の普及につながっていると、(株)技研施工 代表取締役((株)技研製作所 取締役)の大平 厚氏から伺った。

 (株)技研製作所は、東南アジアでも積極的に営業展開しており、当センター主催の“Seminar on Japanese Construction Technology in Thailand 2015”にも参加した。
 写真は、そのセミナーで発表する野崎 恒延氏であり、本稿の取材現場をご案内いただいた。
 タイでは鋼製矢板はほとんど使われておらず、コンクリート矢板が主流のため、なかなか圧入工法が採用されないようである。そこでタイの大手ゼネコンであるイタリアン‐タイ社協力のもと、現地のコンクリート矢板で試験施工を実施した。「軟弱なバンコククレイが広がるタイでは圧入工法が有用であるはず。試験施工の結果をもとに、タイでの営業を加速させたい」と野崎氏は語る。

 最後に余談だが、帰りの高知空港で、(株)技研製作所のブースをたまたま発見した。今回取材したGRBシステムの模型とともに、「高知発の防災技術を世界へ!」の大きな文字が目に留まった。
 この高知発の技術がタイで、そして更に世界で活躍するのを筆者も期待します。


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