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施工現場でICTのフル活用!前田建設工業㈱矢切函渠その9工事での取り組みを取材しました。 (取材日:H26年6月19日)

 写真をご覧頂きたい。タブレットパソコンの中に実現場と同じ空間が再現されている。前田建設工業㈱では現場の状況を正確に再現した3次元CADデータを作成し、施工計画に活用している。
 今回は、実現場において、ICT技術を積極的に活用する前田建設工業㈱に話を伺った。

 訪れた現場は、前田建設工業㈱が受注している千葉県松戸市の外環道の建設現場である。ここは現場内に設置された既設の仮橋の上に国道298号線が通っており、函渠(外環道)を構築するためには、仮設構造物の撤去や設置、国道の切り回し等、複雑な施工手順が必要である。
 さらに、隣接する国道には日常的に多くの一般車両が走っているため、クレーンの配置にも工夫が必要である等、検討項目が多く存在したとのことだ。

 前田建設工業㈱では、この工事にCIM※を積極的に導入し、施工手順の把握や仮設構造物との取り合い等の検討を行い、発注者との打合せに活用している。また、中央復建コンサルタンツ㈱との共同研究において、今後の維持管理に必要と思われる情報をあらかじめ付与することで、竣工後の施設管理にも役立てたいとの思いで検証を進めているそうだ。
 ※CIM(Construction Information Modeling)とは:調査・設計段階から三次元モデルを導入し、施工、維持管理の各段階での三次元モデルに連携・発展させることにより、設計段階での様々な検討を可能とするとともに、一連の建設生産システムの効率化を図るもの。【引用:CIM技術検討会 平成 25年度報告】

 この現場は、仮設構造物と函渠との取り合いが複雑であるため、現場全体を可視化することで課題を明確にし、関係者間の意思統一を図る必要があると感じCIMを採用した、と熱く語る河野所長(左写真の一番右側)。
 また、3次元データを元に3Dプリンタにて模型(写真右下)を作成し、函渠と仮設構造物との干渉具合を確認しているとのことだ。

 さらに、この現場では、ICタグを使用した現場計測データとCIMデータの連携についても検証を進めている。
 位置情報が記録されたICタグを構造物に設置しICリーダー(写真参照)をかざすと、タブレットPC上で該当ブロックの施工時のコンクリート配合や打設日等の各情報を記録した帳表形式のファイルが起動する。検査時や竣工後の維持管理時に簡単に部材の属性データを確認できるシステムを構築すると共に、現場で発生する日々の書類作成作業や確認作業の軽減にも繋げたとのことだ。

 また、土木構造物の配筋時の検査作業でもCIMの活用を検証している。
 左の写真は、写真計測技術を使って、組立てた鉄筋の出来形を計測している状況である。写真計測した情報により、3Dデータを作成することが可能である。これにより、供用後にアンカーを打つ等の作業が発生した場合、従来は穿孔作業前に鉄筋レーダー探査などで内部鉄筋の位置を把握する必要があったが、施工段階から内部鉄筋実測3Dデータを継承しておけば、鉄筋の位置を容易に把握することが可能になる。ただし、これは実用化するまでには、未だ検討することが多いとのことだ。

 さらにAR技術※を活用して、コンクリート内部の見える化も検討している。右の写真は、コンクリートブロックにタブレットPCをかざすことにより、鉄筋の3Dモデルが重なりあたかもブロックが透けて見えているようになっている。まだ、検証段階ではあるが実用化されれば、土木構造物の鉄筋がどこにあるのか現場で確認することができるため、維持管理時に有効なツールになる。
 ※AR(Augmented Reality)とは:人が知覚する現実環境をITにより拡張する技術。

 今回は、現場が抱える問題を明確にしたいという河野所長をはじめとする作業所のニーズからCIMやICT技術を試行的に導入したが、「現場の見える化」を実践することにより、関係者間の意識を統一することができる有効なツールであることが確認できた。今後は、現場で行っている作業が簡素化され、更にCIM導入コスト削減を目標に職員の意識も高めていきたいと語る河野所長(写真中央)。
 本社と現場で連携し、ICTツールのデータも活用しながら課題を解決し現場のサポートができるCIMの実用化に向けて取り組んでいきたいと語る工藤氏(写真左)。

 取材に協力して頂きました前田建設工業㈱の職員の方々に、この場を借りて心よりお礼申し上げます。
(写真左より、工藤氏(本社)、平澤氏(本社)、河野所長、都丸副所長、諏訪営業第一部長(東京土木支店))

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