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一般財団法人先端建設技術センター WEB記事

ロボット技術で建設の未来を変える! 東急建設(株)技術研究所の紹介(取材日:H25年11月29日)

 相模原市中央区の工業団地の一角において、建設の施工プロセスを変えるため、日々、ロボット技術の研究を続け、成果を発信し続ける東急建設(株)技術研究所 メカトログループを訪問した。
 本日、対応頂いたのは、伊藤土木研究室長(写真中央)、柳原メカトログループリーダー(写真右)、中村主任研究員(写真左)の3名である。

 今回の取材対象は、『TST-FiSH』と名付けられたコンクリート柱の迅速復旧工法に使用する自昇降式コンクリート柱補修装置である。伊藤室長よりTST-FiSH開発のきっかけや発想の源についてお話を頂いた。
 FiSHは、Fiber-Sheets containing Hydraulic resinの略で、水を浸透させることでスピーディーに硬化する近年の医療用のギプスをヒントに新規開発した水硬性樹脂を含浸させた連続繊維シートのことである。伊藤室長が、大学に出向していた際に、ある学生が骨折をし、病院から戻ってきた時に巻いていたギプスを見て、「柱の補修材として使えないか」と閃いたのが開発のきっかけだったそうだ。

 続いて、中村主研より、自昇降式コンクリート柱補修装置の開発プロセスについて説明頂いた。
 開発は、2009年からスタート。本体自身がコンクリート柱を昇降できること、さらには、シートを巻けることを実現するために、模型実験から取り組んだそうである。模型実験では上手くいった自昇降も、実機では、自重に加え、機材や作業が発生するため困難が予想された。そこで、その解決に向けて出したアイデアが、摩擦力と吸着力を備えた吸着ユニットの開発である。

 場所をロボット展示室に移し、模型を見せて頂いた。展示室には、自昇降式コンクリート柱補修装置の1/5の模型を始め、多くの試作機を含むロボット達が飾られている。
 柳原グループリーダーに、各々のロボットの説明を頂いた。展示室は、一般見学も可能とのことなので、興味のある方は一度、足を運んではいかがだろうか。

 これはTST-FiSHの1/5の模型である。模型実験では、柱の最上部まで昇っていき、等速で降下しながら連続繊維シートに見立てた包帯を一定の幅で重なりながら隙間なく巻いて行くことで、品質の高い施工が可能であることが確認できたそうだ。巻き立て機構の部分を変更すれば、洗浄や点検等でも活躍が期待でき、自昇降式なので、高所作業での安全性も確保できる。
 実験機では昇降の駆動輪にウレタンローラーを使用しており、実際に動かしていただいたが、非常に滑らかに包帯を巻いていた。開発者の努力の賜物である。
※画面をクリックすれば、動画が起動します。

 実機レベルの実験棟に場所を移した。昇降機構の試作機では、摩擦力と吸着力でコンクリート柱を自走で昇降できるかを確認したそうだ。
 複数の吸着ユニットがまるで重機のキャタピラのごとく回転しながら昇っていく様子が分かる。対象となるコンクリート柱の表面の汚れやひび等の状況に関わらず昇降できるよう計16~20個の吸着パッドが接触するよう構成されている。
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 複数のパットが、そのまま壁側面に接すると、接触した瞬間に隙間が生じ、吸着力が得られないため、柱側面に接するその瞬間に約10度傾かせ、吸着パッドの先端ではなく、後端から接触させることで、十分な吸着力が得られるようアイデアが盛り込まれている。

 実用レベルまで高めるため、2台の昇降装置で柱を挟み込むことで押し付け力を得て、さらに摩擦力と吸着力を併用することで、750mm×750mmの打放しのコンクリート柱を自走で昇降できることを確認した。
 ここまで至るのに発想から模型実験を経て、3年間であった。
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 模型実験による試行錯誤、吸着ユニットの開発、それらの効果は絶大で、当センターの大型職員の一人が吸着ユニットをつなぐテンションバーにぶら下がっても降下せずに、空中に浮いていることからも、ご理解頂けるであろう。今回ご紹介した技術は、TST-FiSHの施工ロボットとして開発されたものであるが、高所に足場を形成できることから多方面への発展が期待される。
 今後の展望や、その他、取材したロボット達については、追って紙面でお伝えしたい。

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